【感想】『あいもかわらず』(鮎川ハル)年の差×幼馴染みのムズキュン恋愛
お隣に住む幼馴染みとの恋。
まるで少女漫画のようなシチュエーションに、一度は憧れを抱いたことがある人も少なくないと思います。
今回はそんな幼馴染み同士のボーイズラブを描いた一冊をご紹介します。
ちなみにこの作家さん、今回の作品以外でも「ゆったり、でも、胸キュンなBLが読みたいな」という気分の時におすすめの作家さんです。
『あいもかわらず』(鮎川ハル)
主人公は表紙のおふたり。
左:大学一年生の誠一郎(攻)
右:高校一年生の健(受)
二人は幼い頃からお隣さん同士で育ちます。
はい、そうです。
幼馴染み×年の差×お隣さんという美味しい設定のハットトリックでございます!!
ズバリ、この作品を簡単に紹介すると以下の通り。
この作品を表すキーワード
◎両思いになる(付き合う)までのもどかしさにムズキュン
◎心理描写・空気感の描かれ方が秀逸
◎エロは少なめ。BL初心者さんやピュアがすきな方におすすめ
以下、ネタバレ含みながらの感想となりますのでご注意ください。
あらすじ
むかつく むかつく むかつく
俺の気持ちが嘘だって
どうしてお前が決めるんだ
高校1年の健と大学1年の誠一郎は幼馴染。成長につれ疎遠になっていたが、ふとしたきっかけでまた会うようになる。
幼少の頃のように一緒にいられることが純粋に嬉しい健だが、誠一郎は女子大生に“ヤリチン”と噂されるほど遊んでいる模様……。
そんな幼馴染の変化に戸惑う矢先、酔った誠一郎にキス&告白をされ―!?期待の新星・鮎川ハルの心ときめく初コミックス!
(引用:Renta! - あいもかわらず )
誠一郎(攻)が高校にあがるくらいまでは、「兄弟みたいだね」と周囲から言われるくらい仲が良かったふたり。それがいつの間にか、自然と遊ばなくなり、自然と距離が離れていき、自然と会わなくなります。
けれど、大学生になり一人暮らしを始めた誠一郎に健が届け物を持って行ったことをきっかけに、ふたりはまた一緒に遊ぶようになります。
こういうことって結構ありますよね。
昔はすごく仲が良かったのに、いつの間にか会わなくなって、ひょんなことからまた頻繁に会うようになることって。
会わなくなる理由は人それぞれで、そもそも理由なんてない場合も多いと思います。ただし二人の場合は、誠一郎が意識的に距離を置いていった感じですね。
明確には描かれていないのですが、健のことを恋愛対象として意識するようになって距離を置いていった様子が節々でうかがえます。
対して健は、再び遊ぶようになったこと&酔った誠一郎にキスをされたことがきっかけで誠一郎のことを意識するようになるのですが。
自分自身の気持ちを抑え込むように、一定の線を引いて健と接し続ける誠一郎と、そんな誠一郎に対して、これまでとは違う感情をじわじわと募らせていく健の、心理描写と距離感が絶妙なんです!
二人の気持ちが台詞で明確に語られていたり、表情にまんまと表れていたり、そんな分かりやすい描かれ方はしていないのですが、その空気感や雰囲気でしっかりと伝わってくるんです。
明確に描かれていないからこそ、そのもどかしさに歯痒くなるし、切なくなるし、そしてキュンとさせられるんです。
まさにブームとなった「逃げ恥」のムズキュンってやつですね。
エロはほとんどないですが、「両思いになるまでの過程がしっかり描かれているピュアなBLが読みたい!」という方はぜひ読んでみてください!
おすすめ一コマ
★健の頭を撫でた手をながめる誠一郎の表情
(出典:「あいもかわらず」(鮎川ハル)P94)
このシーン、誠一郎は何も言っていなければ、思っていることも書かれておらず、ただただ手を眺めているだけなんです。しかも、無表情(笑)
ただなんとなく思ってることは伝わってくる。
「あー、撫でちゃったよ。気持ちバレちゃったかなあ」
なのか。はたまた
「あー、また触りたい。いや駄目か」
なのか。
明確ではないけれど、なんとなく想像できちゃうんですよね。
もちろん前後のつながりから読み取れることなのでこの一コマで察することは難しいと思いますが、この作家さんは、こんな風に、主人公たちの気持ちや心理を読者に想像させることに長けてるな思います。
この一コマ以外にも、そんなシーンがいくつもあるので是非想像しながら読んでみてください!
総評
エロ:★☆☆
ストーリー:★★★
心理描写:★★★
総合評価:A